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KENNY GARRETT QUINTET @Cotton Club

artist KENNY GARRETT

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


本日、「ブルーノート東京」でケニー・ギャレットの公演が開催されます。ぼくはそれが待ちきれなかったので、「コットンクラブ」で一足先に彼のライヴを体験しました。

ギャレットは、マイルス・デイヴィス・バンド、そしてアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズという、モダン・ジャズを象徴する2バンドに在籍経験のあるアルト・サックスの名手です。マイルスとブレイキー双方のもとで働いたということは、野球でいえば「巨人」と「阪神」両方でレギュラーを務めたようなもの。両者に選ばれる人材は、そういるものではありません。

そしてギャレットは、新人の発掘と育成に余念がなかったマイルスやブレイキーの遺志を継ぐように、旬のプレイヤーを自分のバンドに入れています。大西順子もブライアン・ブレイドもベニート・ゴンザレスも彼のもとから巣立ったといっても過言ではないですし、あのクリス・デイヴもギャレットのグループに入ったことで初めてジャズ・ファンに認知されたような気がします。今回の顔ぶれは、ヴァーノン・ブラウン(ピアノ)、コーコラン・ホルト(ベース)、マクレンティ・ハンター(ドラムス)、ルディ・バード(パーカッション)。ルディだけは若手ではなく、ギャレットとは'80年代半ば、故マルグリュー・ミラーのバンド"ウィングスパン"でも一緒に活動した旧友です。ヴァーノン、コーコラン、マクレンティはさすがギャレットが見出しただけあり、豊かな将来性を予感させるプレイで喜ばせてくれました。

オープニングは前作『シーズ・フロム・ジ・アンダーグラウンド』からの「Boogety Boogety」。ラテン風モード・ジャズといえばいいでしょうか。テーマ→アドリブ→テーマというジャズの伝統的フォーマットに沿って、サックスとピアノの熱いソロが続きます。卓越したテクニックの持ち主であるにもかかわらず展開がわかりやすく、アドリブがメロディアスなところも(「Without A Song」などいろんなスタンダード・ナンバーが引用されます)、ギャレットが高い人気を保っている秘訣なのでしょう。中盤ではアレサ・フランクリンやディオンヌ・ワーウィックの歌で知られる「I Say a Little Prayer」も演奏してくれましたが、これもモード・ジャズ的なハーモニーが使われていました。後半ではドラマー以外の全員がお経のようなコーラス("チャント"と呼んだほうがいいでしょうか)を聴かせる曲もプレイしましたし、ラストは定番のテーマ・ソングを、いつも通りの客席とのやりとりで締めてくれました。

'80年代に"新しいジャズの担い手"として大いに期待されたギャレットも、いまや超の字のつく大御所です。ひとつのスタイルをしっかりと確立しています。今後もサックス奏者として、エンターテイナーとして、彼は自らのスタイルを深めていくことでしょう。「ブルーノート東京」公演、ぜひご体験ください。
(原田 2013 11.5)

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