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Sadao Watanabe presents SADAO WATANABE N.Y. QUARTET featuring Aaron Goldberg, Ben Williams & Jamire Williams

artist SADAO WATANABE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


よく「世代や国籍を超えて共演できるのがジャズの醍醐味」といわれますが、実のところ、それを実践し続けているミュージシャンは決して多くありません。渡辺貞夫は半世紀以上にわたって、それに取り組んできた人物です。飛び切りの柔軟性で彼は国境、世代、カテゴリーを飛び越えて様々なものを吸収し、それを自らのジャズに反映させてきました。

近年の渡辺貞夫は、ニューヨークから若手ミュージシャンを招いた特別編成のカルテットでライヴを行なうことが定例となっています。「今回は、どんな凄腕を連れてきてくれるのだろう」と、わくわくしているファンも沢山いらっしゃるはずです。今年の共演メンバーは、ジョシュア・レッドマンのバンドでも活動したアーロン・ゴールドバーグ(ピアノ、アーロン・パークスとは別人)、パット・メセニーのユニティ・バンドに抜擢されたベン・ウィリアムス(ベース)、ジャッキー・テラソンやロバート・グラスパーとの共演でも知られるジェマイア・ウィリアムス(ドラムス)。ベンは渡辺の近作『カム・トゥデイ』、『イントゥ・トゥモロー』にも加わっています。

冒頭から「Plum Island」、「Tree Tops」、「Ride On」と、渡辺貞夫ならではの親しみやすいメロディを持ったオリジナル曲が続きます。順に4ビート、ワルツ、ファンク調と、実にバリエーションが豊か。「Ride On」はフュージョン全盛時代のアルバム『オレンジ・エキスプレス』('81年)に入っていたナンバーですが、アコースティック編成でのプレイが新鮮味を運びます。

渡辺のサックスの音色には張りと艶があり、マイクから遠く離れてオブリガートを入れるときでも音が響きます。2月に80歳を迎えられたとのことですが、先日来日したウェイン・ショーターといい、ジャズ・サックス界の80代は今、とんでもないことになっています。もちろんアーロン、ベン、ジェマイアのプレイもたっぷりとフィーチャーされ、とくにジェマイアは若き日のロイ・ヘインズばりのシャープなビート、はじけるようなスネアの音色でソリストに刺激を与えていました。

ほかにもディジー・ガレスピーが書いたビ・バップ・チューン「Blue'n Boogie」、渡辺がアメリカ留学中('62年~'65年)に共演したことのあるチャールズ・ミンガスのナンバー「Boogie Stop Shuffle」といった驚きのレパートリーがあるかと思えば、親友チャーリー・マリアーノに捧げた「I Miss You When I Think Of You」ではバラードの極致を聴かせるなど、90分間、ぼくは"ナベサダ・ジャズ"に酔いしれました。公演は1日まで続き、リズム・セクションの3人は4月2日と3日「コットンクラブ」にも登場します。お見逃しなく!
(原田 2013 3.29)


●4.2 tue. & 4.3 wed. はコットンクラブにてアーロン・ゴールドバーグ、ベン・ウィリアムス & ジャマイア・ウィリアムス・トリオ公演
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SET LIST

2013 3.29 FRI.
1st
1. TOKYO DATING
2. BUTTERFLY
3. EARLY SPRING
4. LOPIN'
5. I THOUGH OF YOU
6. ITAPUA
7. AIRY
8. YOU BETTER GO NOW
9. BLUE 'N BOOGIE
2nd
1. PLUM ISLAND
2. TREE TOPS
3. RIDE ON
4. IF I COULD
5. BLUE 'N BOOGIE
6. I MISS YOU WHEN I THINK OF YOU
7. DEEP IN A DREAM
8. BOOGIE STOP SHUFFLE
9. YOU BETTER GO NOW
10. LOPIN'

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