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SADAO WATANABE presents SADAO WATANABE N.Y. QUARTET featuring DANNY GRISSETT, VICENTE ARCHER & OBED CALVAIRE

artist SADAO WATANABE

REPORT


渡辺貞夫 - SADAO WATANABE


公演初日リポート:
SADAO WATANABE presents
SADAO WATANABE N.Y. QUARTET
featuring DANNY GRISSETT, VICENTE ARCHER & OBED CALVAIRE



説明不要の重鎮・渡辺貞夫が、ニューヨークで出会った新しい友人たちと共に会心のステージを繰り広げています。

ピアノのダニー・グリセットはカリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。バリー・ハリスやハービー・ハンコックの指導を受け、2003年からニューヨークで活動を続けています。先日はトランペット奏者トム・ハレルのバンドで「コットンクラブ」に出演していました。ベースのヴィセンテ・アーチャーはニューヨーク州ウッドストック出身。16歳までギターを弾いた後、ベースに転向しました。ウィントン・マルサリスやロイ・ヘインズのバンドでも活躍経験のある逸材です。ドラムスのオベド・カルヴェールは4ビートやファンクからロック系まで、すべて万能の名手。「ブルーノート東京」にはリチャード・ボナや渡辺香津美のバックで登場したことがあります。

そんな3人を従えて演奏する渡辺貞夫は、ひょっとしたら昨年のステージよりもさらにペースをあげているのでは?と思えるほど絶好調。艶やかなアルト・サックスの音が、梅雨のしめっぽい空気を突き破るように爽快に響きます。オープニング「ONE FOR YOU」では、アドリブの途中でチャーリー・パーカーの名演「EMBRACEABLE YOU」のフレーズまで飛び出したではありませんか。パーカーといえば渡辺貞夫に最大の影響を与えた人物のひとりで、今なお永遠の憧れです。ぼくはこの1曲で、すっかりいい気分になってしまいました。

その後も、盟友チャーリー・マリアーノが書いた16ビートの「BYE BYE BABE」、アップ・テンポの4ビートで演奏された「GEMMATION」など必聴のナンバーが並びます。そしてプログラム後半では、ブラジル・サルバドールの海岸にインスピレーションを受けて書いたという「ITAPUA」、カリプソ〜サンバ調の「SONG OF MAY」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「CHEGA DE SAUDADE」を立て続けに披露。クラブにいち早く夏の空気を運びました。

「CHEGA DE SAUDADE」はディジー・ガレスピー、スタン・ゲッツなど多くのジャズ・ミュージシャンから愛されている曲ですが、大抵の場合、アドリブ部分は一発モノ(ワン・コード)か、“逆循”で行なわれます。しかし渡辺貞夫は原曲の持っている、美しいけれども難しいコード進行を尊重し、鮮やかなソロを聴かせてくれました。

もちろんダニー、ヴィセンテ、オベドも各ナンバーでキラリと光るプレイを披露。1950年代から第一線で活動し、チコ・ハミルトンやゲイリー・マクファーランドと共演、ニューポートやモントルーのジャズ・フェスティバルでも絶賛を博してきた“レジェンド” 渡辺貞夫との共演は、彼らにとっても良い刺激になっているようです。

公演は7月1日まで行なわれます。「同じ曲を一日に2度演奏するのは、どうも楽しくない」ということで、ファースト・セットとセカンド・セットのレパートリーが大きく異なるのも特徴です。ぜひお越しください!
(原田 2012 6.28)


● 6.28thu.-7.1sun.
SADAO WATANABE presents
SADAO WATANABE N.Y. QUARTET
featuring DANNY GRISSETT, VICENTE ARCHER & OBED CALVAIRE
☆ 参考:セットリストはこちら
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