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SADAO WATANABE N.Y. QUARTET

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渡辺貞夫 - SADAO WATANABE


公演初日リポート:Sadao Watanabe presents
SADAO WATANABE N.Y. QUARTET

渡辺貞夫のライヴはいつも華やかです。入り口のドアを開けると花束が並び、客席さまざまな層のファンで埋め尽くされます。愛用のサックスを持ちながら、人ごみをかきわけるようにして今夜の主役が登場すると、ざわざわした客席は一気に静まり、かわって猛烈な拍手が沸き起こります。

昨日のファースト・セットは目下の新作『イントゥ・トゥモロー』からの曲が中心でしたが、ぼくが見たセカンド・セットは、録音してきたばかりという次回作からのオリジナル曲が中心でした。おそらく会場にいる大半のひとが、それらレパートリーを初めて聴いたことでしょう(ぼくもそうです)。震災を受けて書き下ろしたというナンバーもいくつか披露してくれました。が、一貫して客席になごやかな雰囲気が感じられたのは、耳馴染みのない曲であっても、根底には常に渡辺貞夫ならではの親しみやすく、暖かいメロディ・ラインが流れているからでしょう。次回作のタイトルや発売日は近日中に決定されることと思いますが、それを聴くのが早くも楽しみになってきました。

共演のアーロン・ゴールドバーグ(ピアノ)、マット・ペンマン(ベース)、ジョー・ダイソン(ドラムス)は、つねに渡辺貞夫の動きから目を離していません。なにしろ、彼らが生まれる前から第一線で活動しているジャズ・レジェンドです。とくにダイソンの表情からは、「この巨匠から、ジャズの奥深さを盗めるだけ盗んでやろう」的な貪欲さが感じられました。彼は今年21歳の若さ。往年のジャズ・ドラマーのように、シンバル・レガートでリズムをキープしながらオカズ(合いの手)を入れるタイプではなく、むしろオカズの合間にシンバルでアクセントをつけていくのですが、その大胆不敵なプレイは明らかに渡辺貞夫を刺激していました。

ステージでは、新曲に加えて「TOKYO DATING」、「EPISODE」といった旧作も聴かせてくれました。「TOKYO DATING」は、1985年に録音されたアルバムのタイトル曲ですね。そこで御大と共演していたのは、ジェームス・ウィリアムス(ピアノ)、チャーネット・モフェット(ベース)、ジェフ・テイン・ワッツ(ドラムス)という当時の気鋭たち。彼らが日本で親しまれるようになった背景には、渡辺貞夫の尽力があったのです(ウィリアムスは若くして亡くなってしまいましたが)。

ゴールドバーグ、ペンマン、ダイソンの存在も、今回の公演を機にさらに日本のジャズ・ファンに身近なものとなるでしょう。
(原田 2011 7.3)


● 7.3sun.-7.6wed.
Sadao Watanabe presents
SADAO WATANABE N.Y. QUARTET
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