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ROY HAYNES

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原田和典の公演リポート:ROY HAYNES


ズドーン、パシーン、スタタタトン。

空間を切り裂くように、ドラムスの音が響き渡ります。今日も相変わらずノッているなあ、と、30年来のファンであるぼくはいきなりうれしくなりました。ジャズ・ドラムス歴70年を誇る巨匠ロイ・ヘインズ、堂々たる再登場です。

つい“巨匠”と書いてしまいましたが、まったく近づきがたいところがないのも彼の魅力です。そばにいると、つい握手を求めたくなってしまう人なつっこさがあるのです。ぼくは心の中で“おやっさん! いいぞ! いけいけ!”と声をかけながら、この日の演奏に興奮するばかりでした。

楽器編成はサックス、ピアノ、ベース、そして御大のドラムス。往年の名盤『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』、『クラックリン』、『シンバリズム』などと同じですね。ヘインズが最も得意とするフォーマットといえるのではないでしょうか。オープニングはチャーリー・パーカー作の「DIVERSE」。数あるパーカー・ナンバーの中でも、あまり知られていないもの(たしか「SEGMENT」という別タイトルもあったと記憶します)を持ってくるあたり、さすがヘインズだなあと唸るしかありません。彼はパーカーのバンドにいた頃、何度もこの曲を演奏したのでしょうね。

パーカーのもとを離れた数年後、ヘインズはセロニアス・モンクのバンドに迎えられました(ジョン・コルトレーンも在籍していました)。「TRINKLE TINKLE」は、そのモンクの曲です。が、ヘインズは作者の解釈をそのままなぞることなく、7小節目に、原曲とは異なる音を3つ加えてスリルを生み出します。

やはりパーカーやソニー・スティットが愛奏したものの、最近ではあまり取りあげられることがない「EVERYTHING HAPPENS TO ME」では、ジャリール・ショウのアルト・サックスが大きくフィーチャーされました。エンディング部分で、ヘインズが“ビューティフル!”と声をもらします。御大はジャリールを相当のお気に入りのようで、メンバー紹介のときも“どうだすごい奴だろう、彼はグレイトだよな?”とオーディエンスに問いかけていました。レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、エリック・ドルフィー、ローランド・カーク、スタン・ゲッツなど数多くの伝説的サックス奏者と名演を残してきたヘインズに絶賛された、ジャリールの未来は限りなく明るいといっていいでしょう。

長尺の「MY HEART BELONGS TO DADDY」が終わった頃には、90分近い時間が経過していました。ぼくはすっかり、この曲でファースト・セットは終わりだと思っていました。が、ヘインズはますますノッてきたようです。そして“あと10分、時間をもらえないかな”といいながら、猛烈なアップ・テンポを叩き出しました。パット・メセニー作「JAMES」です。カルテットが一体となった高速プレイに、客席はさらに盛り上がりました。

“We Love You!”といいながら、名残惜しそうにステージを後にしたヘインズ。6月4日まで、ここブルーノート東京は、彼の“愛”で満たされます。
(原田 2009/6/1)


6/1 mon - 4 thu

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