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- 原田和典の公演初日リポート : FOURPLAY


フュージョン〜スムース・ジャズのトップを走るユニット“フォープレイ”が、久しぶりにブルーノート東京へ帰ってきました。

ダイナミクス(メリハリ)豊かで、ニュアンスに富んだサウンドが持ち味の彼ら。アコースティックな響きを大切にするこのグループにふさわしいのは、なんといっても、親密感にあふれたクラブ公演です。

フォープレイがデビュー・アルバムを発表したのは1991年のことでした。スター・ミュージシャンが集まったグループだけあって、大変な話題を巻き起こしたことを昨日のことのように覚えています。が、そのいっぽうで“こんな売れっ子たちがレギュラーでバンドを継続できるわけがない。あっという間に空中分解してしまうのではないか”という意見も少なくありませんでした。
が、今もフォープレイは活動を続けています。さまざまなプロジェクトで多忙を極める4人がスケジュールを調整して集まり、磨きこまれた「バンドの音」を聴かせてくれます。誰もがフォープレイとして演奏することを、心から楽しんでいます。まさしく「継続は力なり」です。

メンバー4人が現れると同時に、次々とファンが立ち上がって声援を送ります。皆、フォープレイのクラブ出演を待ちかねていたのです。左からボブ、ネイザン、ラリー、ハーヴィーがステージに登場します。青いシャツを着たボブと、全身を白で決めたハーヴィーが視覚的にも素敵なコントラストを描きます。

レパートリーは、今年のグラミー賞にノミネートされた新作『エナジー』からの曲が中心でした。極上のシャッフル・リズムをキメるハーヴィー(スネア・ドラムを、聴こえるか聴こえないかぐらいの小音量で打ち続ける左手の細かな動きに、ぼくの目は釘付けになりました)、得意技であるベースと歌声のユニゾンを堪能させてくれたネイザン、ソロだけではなくバッキングでも職人技を炸裂させたラリー、そして愛用のMIDIピアノ(MIDI音源のコントロール機能を持つYAMAHA製ピアノ、ディスクラヴィアと呼ばれてます。外付けの音源モジュールからの音色を生ピアノのサウンドと一緒に発音できるもの)でワン&オンリーのサウンドを紡ぐボブ。ぼくは彼らのライヴをリー・リトナー在籍の頃から見ていますが、様式美というべきサウンド作り、全体に漂う品格は・・・カテゴリーこそ違うかもしれませんが・・・・ジャズ史上のグループ“モダン・ジャズ・カルテット”(MJQ)に通じているように思います。

アンコールでは、ボブが’76年に発表したアルバム『ボブ・ジェームスIII』からの大定番「ウエストチェスター・レディ」を、遊び心いっぱいの“フォープレイ・ヴァージョン”で楽しませてくれました。スムース・ジャズの紳士たちは、これからも味わい深いサウンドを送り届けてくれることでしょう。
(原田 2009/4/15)


4/15 wed. - 4/20 mon.
FOURPLAY
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<< プロフィール・原田和典 >> 1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。 著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム) 『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、 『世界最高のジャズ』(光文社新書)、 『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。 共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、 監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。

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