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CHIC featuring NILE RODGERS

artist NILE RODGERS & CHIC

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- 原田和典の公演初日リポート : CHIC featuring NILE RODGERS


ああ、楽しかった!
これに尽きます。シック・フィーチャリング・ナイル・ロジャース公演。モーレツに盛り上がりました。ステージ両脇には大きな桜の花が飾られ、ミラーボールもぐるぐる回転。エンディングでは撮影タイムまでありました(カメラを持って会場にいらっしゃった方、本当に良かったですね)。まさに、出血大サービスです。

ナイル・ロジャースの名前をご存じないという方も、必ずどこかで彼の創り出した音に接しているはずです。「レッツ・ダンス」(デヴィッド・ボウイ)、「ザ・リフレックス」(デュラン・デュラン)、「シーズ・ザ・ボス」(ミック・ジャガー)などなど。マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』のメイン・プロデューサーでもありました。ダイアナ・ロスの「アップサイド・ダウン」、シスター・スレッジの「ウィ・アー・ファミリー」もナイルのプロデュースですね。

しかし、ナイルは敏腕プロデューサーであると同時に“ライヴ大好き人間”でもあるのです。それが本当によくわかるのが、彼のマザーシップといえるユニット“シック”によるステージ。シルヴァー・ローガン・シャープ、フォラミ・トンプソンなど歌姫たち、踊るパーカッション奏者ジェラルド・ヴェレスを始めとする各メンバーも目と耳の両方を楽しませてくれましたが、サウンドの司令塔は言うまでもなくナイルです。ギターを持ち、ジョークを飛ばし、シンガーと共にリフレインを歌う彼の、なんと嬉しそうなことでしょう。もちろん得意技“カッティング”もたっぷり聴かせてくれました。

“カッティング”とは、いってみれば、音楽の専門用語です。と書くと、ちょっと難しく感じられるかもしれませんが、ようするにギターの和音をドラムのように演奏することです。ぼくはこう、簡単に簡単に解釈しています。だからリズム感、切れ味が命です。おいしいトンカツ屋のオヤジが刻むキャベツの千切りのように、音を歯切れよく、小気味よく刻まなければならない。ナイルのカッティングは天下一品です。この“刻み”のひとつひとつが、ぼくらファンの心と体を弾ませるのです。

ステージ後半では、今やすっかり恒例となったコーナー“君も今日からナイル・ロジャース!”(←ぼくが勝手につけたタイトルです)も開催されました。腕に覚えのあるお客さんがステージにあがりギターを借りて、ナイルの目前で「おしゃれフリーク」のイントロを弾くわけですね。ぼくが見た日は6人のお客さんが、なりきりナイル・ロジャースしていましたが、皆さん本当にうまい。しかも堂々としています。本物のシックを伴奏にギターを弾く・・・・気持ちいいだろうなあ。しかも目前にナイル・ロジャース御本人。すごいですよ、これは。孫の代まで誇れますよ。

演奏曲は、“オール・リクエスト大会”といいたくなるほど良く知られたものばかり。「ダンス・ダンス・ダンス」、「おしゃれフリーク」、「グッド・タイムス」、ダイアナ・ロスで流行った名曲「アイム・カミング・アウト」も楽しませてくれました。ライヴというよりもパーティという言葉が似合う、飛び切りにぎやかな夜をありがとう!
(原田 2009/4/3)


4/3 fri - 8 wed, CHIC featuring NILE RODGERS
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1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。

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