年末年始に登場! ロバート・グラスパー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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年末年始に登場! ロバート・グラスパー

年末年始に登場! ロバート・グラスパー

まさに時代の先端をいくピアニスト
原点のトリオによる年末年始ライヴ

ゴスペル、R&B、ヒップホップの要素も体内に秘めたジャズ・ピアニスト、ロバート・グラスパー。フルバンドからシンプルなトリオまであらゆる編成で様々な顔を見せるマルチ・ジャンル・ミュージシャンがこの年末年始にキャリアのスタート地点となったトリオで来日。その指先から生まれるメロディアスで抒情的なタッチの先に見える景色は?

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text = Masaharu Yoshioka



 ルーツ。

 才能あるミュージシャンは、ひとつのカテゴリーに押し込められない。聴く側は、往々にしてそのアーティストを最初に聴いた、あるいは知ったときのイメージや印象でそのアーティストをある種の枠にはめようとする。ある程度の才能を持ったアーティストは、最初の内はあらゆる音楽を聴き、触れて、そうしたものが体内で血となり肉となっていく。いつしか自分の好きなタイプの音楽、得意とするタイプの音楽ができていく。そしてなんらかのきっかけでブレイクした時の音楽が、聞き手にそのアーティストを初期設定していく。

 このところ毎年のようにやってくるロバート・グラスパー(ピアノ)もまさにそんなアーティストだ。一般的には、ジャズのピアニストとして知られるが、彼が吸収してきた音楽は、母親が歌ってきたゴスペルやブルーズ、さらに、ソウル、R&B、ファンク、ラップ、ヒップホップまで多種多様だ。そしてそうした音楽を普通に聴いて、実に自然体でそれらの音楽要素を取り入れる。

 そこで、彼は出し物に応じて、自身の編成を変えてくる。この年末から2018年年始にかけてやってくる彼の編成はロバート・グラスパー・トリオだ。だがただのトリオではない。DJをいれたトリオ+1。ここがグラスパーらしいところと言える。DJをいれることでオーソドックスなジャズ・トリオにヒップホップ、R&B的な要素が加わる。往年のジャズ・ファンと新たなリズムを求める若いジャズ・ファンが交錯するのが、この年末のブルーノート東京ということになる。

 2012年2月に発表したアルバム『ブラック・レイディオ』は、翌2013年のグラミー賞で「ベストR&B」「ベストR&Bパフォーマンス」でノミネートされ前者を見事に獲得した。さらに2013年10月にリリースされた続編『ブラック・レイディオ2』は、2015年のグラミー賞で、やはり「ベストR&Bアルバム」と同アルバム収録の「ジーザス・チルドレン・オブ・アメリカ」(レイラ・ハサウェイをフィーチャー)が「ベスト・トラディショナルR&B」にノミネートされ、見事後者を獲得。

 実際の彼に会ってみると、一見普通のR&B、ヒップホップ・アーティストではないかと錯覚してしまうほどまさにストリート感覚あふれるデュード(男)だ。マイルス・デイヴィスをリスペクトし、ロイ・ハーグローヴにあこがれてきたロバート・グラスパーは「何より、まずジャズ・ピアニストとして認められたい。そこで評価されてから初めてR&B、ヒップホップの連中と一緒にやれるんだ」と宣言する。そんなグラスパーのルーツともいえる年末、大晦日、年始のギグは見逃せない。

吉岡正晴(よしおかまさはる)
音楽ジャーナリスト。ソウル、R&B、ダンス・ミュージックなどを得意とする。毎月第一木曜『ナイト・サーチン』(ミュージックバード、22時生放送)や、日々更新の「ソウル・サーチン・ブログ」などで最新のソウル情報を発信中。著書に『ソウル・サーチン』等。

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