[30周年スペシャルインタビュー]矢野顕子 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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[30周年スペシャルインタビュー]矢野顕子

[30周年スペシャルインタビュー]矢野顕子

My Favorite Things about Blue Note Tokyo
AKIKO YANO

 2003年、ブルーノート東京で初演した矢野顕子グループは、2009年にウィル・リーとクリス・パーカーの矢野顕子トリオとなり今年10周年を迎えた。ニューヨークを始め多くのヴェニューを知る矢野さんにとって、ブルーノート東京とはどんな場所なのか聞いてみた。

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「ブルーノート東京みたいなところって他にないのよね。本当に、本当にないんですよ」

 とても力強い答えが返って来た。

「私は狭い範囲しか知らないけれど、上原ひろみさんみたいに世界中のジャズクラブを知っているアーティストにとっても、ブルーノート東京は特別な場所なんです」

 では特別な場所ってどういう意味なんだろう。例えば矢野さんはニューヨークではジョーズ・パブというニューヨークのランドマーク的なライヴハウスを「ホーム」として定期的に公演している。それと比べてみると?

「ジョーズ・パブも良いですよね。場所も良いし、カジュアルだけどカジュアルすぎないし、ちゃんと音楽に集中できるところが良い。よくハコが良いという言い方をしますが、良い雰囲気かどうか、どんなアーティストが出演しているかどうか、照明とかPAもちゃんとしているか、全部含めてジョーズ・パブは基準以上を保っている。でもブルーノート東京はその全ての基準を凌駕していると思います」

 そしてその中でも矢野さんが強調する点がある。

「ブルーノート東京ほどミュージシャンを大切に扱ってくれるところは他にないと思います。お店に到着して、また4日間よろしくお願いします、と言った時から、本当に気持ちよく迎えてくださる。クラブやホールが持っている雰囲気そのものがよければ気分も良くなって演奏も変わるんです」

 その雰囲気には、公演を見に訪れるお客さんも大いに関係があるようだ。

「本当はものすごくいいなあと思っていても、それを表さないで黙って見ている人もいる。でも声を出すとか、拍手を大きくしてくれると、演奏しているアーティストにとても響くものなんですよね。マラソンで苦しくなった時に、道での応援の一言がすごく力になるのと同じで。それをミュージシャンにもわかるように伝えてくれたら本当に嬉しいんです。ブルーノートにはそういうお客さんが多いんですよ」

 そんなお客さんに応えるために、矢野さんは衣装やヘアメイクにもとても気を使っているという。

「1ヶ月くらい前から、どんな衣装にするか、曲の雰囲気とかも関係しているので。こういう服どうかな、と写真撮って日本のヘアメイク、スタイリストに送って、その中からこれとこれ、じゃあそれにあう髪型は?と考えてもらいます」

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 そしてもう一つ、公演前から矢野さんが楽しみにしているというのが、アーティストとシェフとのコラボレーションメニューだ。

「私の出演の時に矢野顕子スペシャルで作ってもらうものに関しては、随分早い段階、5月頃から打診があって、今年はどんな風にしますか、リクエストありますか?と聞かれます。行くのはほぼ夏なので、夏の食材、例えば 今年はシマアジどうですかみたいな感じで。その前の年はししゃもだったんですが、素晴らしく美味しかったですね。それで、言わせてもらいました。こんなに美味しくてすごく良いものを使っているお料理、このお値段で絶対にニューヨークでは食べられないって。お客さんがそれを少しでもわかってくれたら嬉しいんだけど(笑)」

 毎年のメニューをお客さんと共有するのを楽しんでいる様子が伝わってくる。

「お客さんが暖かく迎えてくだされば、その期待に応えたいなとすごく思うしね。また来て欲しいなと思うし、来てくれるお客さんへの感謝は年々強くなりますね。これほどミュージシャンに対して敬意を持って扱ってくれるところに、トリオで10年間行けた事は、その愛に応えるというか、それが確かにトリオが良い演奏をすることにつながっていると思います。」

 矢野さんはさらにこう続ける。

「ブルーノート東京で演奏できるのは特権だと思っていますから、また来年呼んでくれたとすれば、今年以上のステージをしたいと思うし、同じことを毎年やっているということは全くないので。やはり夏にブルーノートがあって、そこで良い体験ができるということは、私たちにとっても大きな夏のご褒美というか、すごい楽しみにしているんです」

 矢野顕子トリオがブルーノート東京での10周年を達成した今、次の目標はあるのだろうか?

「東京で朝ごはんを食べながら3人で話していたのは、次の20周年はどうなんだろうか?ということです。私は10年後には73歳、彼らはもうちょっと上ですから、その年齢で日本まで飛行機に長い時間乗って、という旅をしながら演奏できるかどうか。だからこそ10年できたことに本当に感謝しているんです」

photography = Michika Mochizuki
interview & text = Megumi Sato-Shelley

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