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[インタビュー|MY INSTRUMENT]櫻井哲夫

[インタビュー|MY INSTRUMENT]櫻井哲夫

櫻井哲夫のインフィニティ

カシオペアやJIMSAKUで世界的な人気を博して以来ソロからバンドまで幅広いリーダー・プロジェクトで活躍する辣腕ベーシストの厳しい要求に応える楽器をクローズアップ

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 2018年が明けて早々の1月4日、Shihoに菰口雄矢、宮川純、そしてサイモン・フィリップスという、世代と国境を越えた豪華な面々とエキサイティングなセッションを繰り広げた櫻井哲夫。日本のフュージョンを世界に知らしめたベーシストの愛器は、2013年にワーウィック社のエンドーサーとなった記念に同社から贈られた、インフィニティ5弦シグネチャーである。「もともと標準的な仕様のインフィニティを気に入って使っていたので、シグネチャーも標準仕様でお願いしたんですが、指板は特別にブラジリアン・ローズウッドに変更されているので、タイトで"ガッ"という音が出るんですよ」

 カスタム・ショップ・モデルとして提供されるインフィニティは、美しい杢の出たメイプルをトップ材に使用したfホール付きのホロウ・ボディが特徴の、手の込んだ楽器である。贈呈時の櫻井シグネチャーはアンティーク・タバコという深みのある茶色だったが、その後ラスティという、錆びた金属のようなワイルドな色に塗り替えられた。「最初の色はとても上品でしたが、タイトで"ガッ"という音だったのと、もらった頃にちょうど夏木マリさんや世良公則さんとの共演でロックな音楽をやる機会が多くて、楽器の音により合った色に変えました。メーカーの担当から『ほんとうにいいの?』と言われましたが(笑)、『ロックみたいな音でしょ?』と言って塗り替えてもらったんです」

 理想のベースについて、「いろいろな音楽をやっているので、楽器もそれぞれに合う音のものをいろいろと使ってきましたが、芯があって表情や艶が出せて、ダイナミクスの表現力のある音というのが基本にあるんです」と語る彼は、4日のショウではベース・ソロからShihoとのデュエット、フルバンドでの演奏まで、幅広い状況の全てをこのインフィニティ1本で通した。そのことからも、櫻井がこの楽器に全幅の信頼を置いていることがわかる。

instrument
アンプ周りはアギュラーのセットをメイン、ワーウィックのセットを空間系のステレオ・エフェクト用として、合計3台を使用
instrument
足元のペダルボード。空間系はほぼストライモンで統一するいっぽう、ゲイン系は様々なメーカーのものを組み合わせている

photography = Eiji Kikuchi
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Rittor Music

櫻井哲夫(さくらい・てつお)
1976年に加入したカシオペアでの国際的な活動を通じて、日本のフュージョン界を代表するベーシストとしての地位を確立。1999年に本格的なソロ活動を開始して以来、様々なプロジェクトを手がけている。

坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストの取材や通訳を行う。ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊東たけし、仙波清彦などとも共演。

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