超レア公演! ジャーメイン・ジャクソンがやって来る! | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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超レア公演! ジャーメイン・ジャクソンがやって来る!

超レア公演! ジャーメイン・ジャクソンがやって来る!

世界的にも稀少なクラブ・ギグ!
ジャーメインが贈るプレミアム・ステージ

 ジャクソン5時代から弟マイケルと並ぶ実力とスター性で人気を集めていたジャーメイン。R&Bを歌い続けるシンガーであり、ベーシストとしての腕も発揮した、 "世界で最も有名な兄"の輝かしい軌跡を改めて振り返る。

text = Tsuyoshi Hayashi

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 マイケル・ジャクソンの兄。そうした紹介のされ方はジャーメイン・ジャクソンにとって名誉であり不名誉でもあるだろう。マイケルの憧れでもあった兄は、ジャクソン5でマイケルとリード・シンガーの座を分け合い、「天才」と呼ばれた弟のライヴァルとして比較され続けてきた。早くからアーティストとしての自我に目覚め、ソロとしても実績を残してきただけに、もどかしい思いをしていたであろうことは想像に難くない。ラフェイス発となるソロ作『You Said』(91年)の先行シングル「Word To The Badd!!」でマイケルに対して辛辣なディスをしたこともある。だが、マイケル亡き今、そんなゴシップめいた話など取るに足らないことだと本人も世間も気づいている。マイケルの追悼式で故人のお気に入りだったチャールズ・チャップリンの「Smile」を歌ったジャーメインは、マイケルと対峙しながらも、時には大きな愛で弟を包み込んだ優しい兄でもあったのだ。

 ジャクソン兄弟姉妹の三男(1954年生まれ)であるジャーメインは、60年代後半からジャクソン5のメンバーとして活動。セカンド・リード的なポジションで、「I'll Be There」(70年)などではマイケルとデュエットもしていた。モータウンからはマイケルに続いてソロ・デビューも果たし、初期にはシェップ・アンド・ザ・ライムライツのドゥーワップ名曲をカヴァーした「Daddy's Home」(72年)などがヒット。そのウォームでセクシーなヴォーカルは多くの女性ファンの心を掴んだと聞くが、ベース奏者でもあったジャーメインは、ダイアナ・ロス主演映画『マホガニー物語』(75年)のサントラに「Erucu」というインストも提供。これはDJのラリー・レヴァンらがプレイし、ディスコ・ファンからも支持され続けている。



 ジャクソン5がモータウンを離れてジャクソンズとして再出発した際には、同社社長であるベリー・ゴーディーJr.の娘ヘイゼルと結婚していたこともあり、モータウンに残留。こうしてソロ作を出し続け、デバージの兄貴分であるスウィッチを発掘したりもした彼は、エピックからソロとして再出発してモンスター級の人気を集めていたマイケルを脅かすほどの成功を掴む。スティーヴィー・ワンダーをプロデューサーに迎えた80年作『レッツ・ゲット・シーリアス』がそれで、ダンサブルな表題曲はソロとしては初のR&Bチャート1位(ポップ・チャートでは9位)を記録する大ヒットとなった。



 弟と並んだジャーメインは84年のアリスタ移籍第1弾『ダイナマイト』でマイケルとのデュエットを披露し、ジャクソンズにも合流。6兄弟揃い踏みとなった『Victory』(84年)では「Torture」でマイケルとリードを分け合った。また、『ダイナマイト』では「やさしくマイ・ハート」の邦題で知られるアーバンな曲をホイットニー・ヒューストンと歌い、ホイットニーのソロ・デビュー作をカシーフらとバックアップ。常に"R&Bの今"を意識していたジャーメインは89年のアルバム『Don't Take It Personal』でもカシーフを起用し、「Happy」(86年)のヒットで知られるサーフィスのメンバーとも組んだ。特に2度目のR&Bチャート1位となった表題曲は、ローランドのドラムマシン=TR - 808を使った音作りを得意としたサーフィスの甘く爽やかなムードを含んだミディアム・スロウで、彼のジェントルな歌声とともにリスナーの心を揺さぶった。



 ラフェイスからアルバムを出した後は寡作の人となるが、2012年にはフランスのオペラ歌手、デヴィッド・セレーロと組んだジャズ・スタンダード集『IWish You L.O.V.E』を発表。セレーロとは、ジャーメインによるマイケル回想録に基づいたミュージカル(ライヴ)でもコラボレーションを行うなど、近年はジャンルや国境を越えた活動も目立つ。89年にイスラムに改宗し、ムハンマド・アブドゥル・アジズというムスリム名を得た彼はバーレーン王族とも懇意で、ドバイでも暮らしていたが、そうした環境の変化も音楽活動に影響しているのだろう。同時に、マイケル亡き後、2011年にはジャクソンズの「Blame It On The Boogie」をカヴァーしたソロ・シングルを発表するなどファミリーとしての意識も高まり、翌年にグループの再結成ツアーも実現。2015年には「Summer Time Feeling」という爽快な曲を出してR&Bへの本格復帰も匂わせていた。私生活では何度か結婚しているが、息子のジャファー・ジャクソンは今年「Got Me Singing」で公式デビューを果たし、父やマイケルのスター性を受け継ぐサラブレッドとして注目を集めている。

 そんなジャーメインがモータウン創立60周年となる今年、兄ティトも出演したブルーノート東京でソロ公演を行うことの意義は大きい。アリーナ・クラスの会場がスタンダードとなるジャーメインのクラブ・ギグは世界的にも珍しく、あらゆる意味でプレミアム。この機会は逃したくない。



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『レッツ・ゲット・シーリアス』
(Motown / ユニバーサル ミュージック)

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『ダイナマイト』
※「やさしくマイ・ハート」収録
(SOLID RECORDS)

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『Don't Take It Personal』
(Funkytowngrooves)

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『I Wish You L.O.V.E.』
(World Productions Group)




林 剛(はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDの解説を含め、様々なメディアに寄稿。今年は現行R&Bのチェックに加えて、創立60周年を迎えたモータウン、ニューオーリンズの新世代アクトに注目している。

An Intimate Evening with
JERMAINE JACKSON
2019 11.7 thu., 11.8 fri., 11.9 sat., 11.10 sun.

11.7 thu., 11.8 fri.
 Open6:30pm Start8:00pm
11.9 sat., 11.10 sun.
 Open4:30pm Start6:00pm
★本公演は1日1ショウのみ
公演詳細はこちら → https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/jermaine-jackson/

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