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来日目前!スナーキー・パピー、海外最新ライブレポート

来日目前!スナーキー・パピー、海外最新ライブレポート

話題のフェス "GroundUP Music Festival" で
今年も繰り広げられた圧巻のグルーヴ

 これまで3度のグラミー賞に輝いた現代屈指のジャズ・コレクティブ、スナーキー・パピー。マイケル・リーグを中心に気鋭プレイヤーが集結し、そのサウンドを常にアップデートし続ける彼らは、自身のレーベルがオーガナイズするフェス『GroundUP Music Festival』を今年も開催、世界中から集まった多くの音楽ファンを魅了した。あと1ヶ月に迫った彼らの来日公演へ向けて、兼ねてからスナーキー・パピーの魅力を伝え続ける音楽評論家、柳樂光隆氏が、この話題のフェスの現地ライブ・レポートをお届けする。

text = Mitsutaka Nagira

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 スナーキー・パピーは2017年から、自分たちが運営するレーベルGroundUP Musicのアーティストを中心にしたラインナップのGroundUP Music Festivalを開催している。場所はアメリカのフロリダ州のマイアミ。アメリカ屈指のリゾート地であるマイアミビーチから徒歩1分の会場で行われる。今年は2/8-10。ちなみにこの時期のマイアミの気温は最高気温25度、最低気温20度。半袖短パンでOKな環境だ。今年、僕はそこに行ってきた。(※ちなみに僕以外にも日本から来ている人が4人もいた。)

"GroundUP Music Festival" @Miami Beach, Florida
2019年開催(2.8 fri. - 2.10 sun.)のラインナップはこちら → http://miamibeach2019.groundupmusicfestival.com
☆来年の開催も決定!
2020 2.14 fri. - 2.16 sun. → https://festival.groundupmusic.net

 そのフェスにスナーキー・パピーは三日間毎日出演する。今年は、初日の夕方、二日目の真昼間、三日目の大トリ。初日はレイラ・ハサウェイが飛び入りして「Something」を、二日目はスナーキー・パピーだけで、最終日はモロッコ音楽のグナワのミュージシャン達が加わってグナワテイストのアレンジで名曲を聴かせてくれたりした。

 とはいえ、今年のフェスでのスナーキー・パピーは特別なステージだった。2019年の3月にリリースが決まっている新作『Immigrance』の世界初お披露目の場がGround UP Music Festivalだったからだ。このフェスの直前にメンバーの小川慶太から、「スナーキー・パピーのメンバーは三日前に入って新曲のためのリハをひたすらやってますよ」という話も聞いていた。

 ライブではマイケル・リーグがMCで曲をかるく説明をしながら、新曲を挟んでいく構成。このフェスではキーボードがジャスティン・スタントン、ショーン・マーティン、ビル・ローレンスの3人仕様。キーボードの音色のバリエーションでエレクトロニックな楽器のテクスチャーを活かしながら、淡い色合いも含めて音響的に空間を作っていく感覚は、これまでのスナーキー・パピーよりもはるかに色濃く出ていて、チャレンジングな雰囲気があったのが印象的だった。そして、ドラマーはJTトーマス、ローレル・ルイス、ジェイミソン・ロスが入れ替わり立ち代わり。パーカッションもネイト・ワース、小川慶太が入れ替わったり、共存したり。誰が入っても爪痕残しつつ、同時に確実にフィットしていくメンバーたちには驚くほかなかった。

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 新曲に関して、特に面白かったのが「Xivi」。これは先行配信されているのでそれも併せて聴いてほしいが、エレクトリック・マイルスや菊地雅章『SUSUTO』を思わせるポリリズム・ファンクだが、彼らがこれまで世界中をツアーしてきた土地で聴いてきたリズムが取り込まれているような雰囲気も。スナーキー・パピーがやるだけあって、ある種の実験性よりは、個の集積による一体感が強く出て、とても複雑なことをやっているはずなのに、柔らかさやしなやかさの方が聴こえてくるし、全員がその場を楽しみながら変化も入れつつグルーヴしていて、すごくピースフルでマイアミの空気にも合っていたのはさすが。その中にキーボード3人の音色の豊かさやホーンセクションのアンサンブルが豊かに響く。サウンドの厚みと手触りの気持ちよさは抜群。そして、パーカッションのセクションがここまで活きる曲ができたのは小川慶太やネイト・ワースのファンとしてはうれしい限り。圧倒的な演奏に魅了されているとどんどん曲が変化していくのも気付かずにいつのまに1曲が終わっている。

 ピースフルと言えば、「Bad Kids to the Black」。これぞスナーキー・パピーというようなファンキーな楽曲で、個々が重量級のソロを聴かせつつ、そのソロにメンバーが絡みまくっていったりする自由さがありながら、所々にバシッと息を合わせるキメがあり、敏腕たちによるジャム・セッションの面白さをそのままパックした部分と、敏腕だからこその楽曲を正しく奏でるテクニックを魅せてくれる部分が同居していて最高だった。そして、どこか80's的なサウンドを思いださせてくれるリゾート感のある曲調のこの曲でもホーンセクションが重要な役割を果たしていて、アンサンブル的な要素をさわやかに楽しめるのもいい。最後には強烈なドラムソロの応酬も。ゴスペル系譜のドラマーたちが在籍するスナーキー・パピーの最高の魅せ場が用意された曲は超盛り上がっていた。

 MCを聴く限り、作曲方法にもこれまでにないやり方を取り入れたりしているのは間違いなく、ライブバンドとして確立した揺るぎない地位に甘んじることなく、スナーキー・パピー自体がまだまだ先へ進むためのアイデアや方法論を模索しているのだとも感じた。スナーキー・パピーがチャレンジしている時期に、しかも新作のリリース直後に再び日本に来てくれることはうれしい以外の感想が見つからない。マイアミでの初披露よりも完成度の上がったバンドサウンドを楽しみにその日を待ちたい。


柳樂 光隆(なぎら・みつたか)
79年、島根・出雲生まれ。音楽評論家。『MILES:Reimagined』、21世紀以降のジャズをまとめた世界初のジャズ本「Jazz The New Chapter」シリーズ監修者。共著に後藤雅洋、村井康司との鼎談集『100年のジャズを聴く』など。
https://note.mu/elis_ragina
https://twitter.com/Elis_ragiNa

SNARKY PUPPY "World Tour 2019"
2019 4.11 thu. 梅田クラブクアトロ(大阪)
2019 4.12 fri. クラブチッタ(川崎)

開場:18:30 / 開演:19:30 ※両会場ともに
公演詳細はこちら → https://www.bluenote.co.jp/jp/event/snarkypuppy-jpntour-2019/

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