鬼才ビル・フリゼールが、ペトラ・ヘイデンと来日 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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鬼才ビル・フリゼールが、ペトラ・ヘイデンと来日

鬼才ビル・フリゼールが、ペトラ・ヘイデンと来日

ライヴでこそ味わえる
重鎮&鬼才ギタリストの今

ビル・フリゼールは、文句なしに僕のいちばん好きなギタリストです。だがギターという括りに収まらない。老舗でありながら常に進化しながら基本を外さず毎回新作の料理を作る名人シェフ。今回もビル・フリゼールの新メニューをどうぞお見逃しのないように。

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text = Seigen Ono

「いちばん好きなギタリストです」と書くといろいろ突っ込まれそう。こないだはジョン・トロペイと言ってたではないか、昨年のブルース・ブラザーズ・バンド楽屋ではスティーヴ・クロッパーと3人で写真撮ってたじゃないか。デジャブーなのか今年もジョン・トロペイ・バンドが続いてる。

 ギターという括りに収まらないフリゼールの音色は、テレキャスだがむしろビオラの滑らかさと柔らかいシロホンのアタックが秘伝。老舗でありながら常に進化しながら基本を外さず毎回新作の料理を作る名人シェフ。これにハマると『In Line』(82年ECM)から最新作まで、決して裏切られることはない。

 ジョン・ゾーンのネイキッド・シティ初来日、ニッティング・ファクトリー(NYCの老舗クラブ)ほか。80年代、僕は東京に住みながらも年間の半分くらいは、NYCのダウンタウンで過ごした時期がある。追いかけていたのは、フリゼールやジョーイ・バロン、ラウンジリザース、アート・リンゼイあたり。皆でレコーディングや食事会をしているうち英語も喋れるようになった。アルバム『COMME DES GARCONS SEIGEN ONO』にはフリゼールもナナ・バスコンセロスもずらっと友人たちが。気がつくと30年か!?彼がニューヨークからシアトルに引っ越してからは、毎回ではないが来日のたびにメンバーとブラブラと過ごすことも。

 今回の来日メンバー、チャーリー・ヘイデンの娘、ぺトラ・ヘイデンをフィーチャーした新作『星に願いを』については、本人インタビューを参照、CDライナーにあるよう「人生でテレビや映画を見続けてきて、それが今でも音楽的な想像力を掻き立てる」というように、過去作品も含めて映画やテレビのテーマやストーリーを再構築してメニューを組む。どれをとっても夢のような時間を体験させてくれる王道の世界がより洗練されてきた。音楽は時間と空間の芸術で、これは「ギタリスト」という括りでは収まらない。なんだろう?!映画の追体験、PVサイズに凝縮した美味しいとこどりでもある。新作でもジョン・バリー、エンリオ・モリコーネ、ヘンリー・マンシーニ、ここぞというところをメインディッシュに持ってくる。個人的に加筆したいのは、#14「ゴッドファーザー」(ニーノ・ロータ)毎年年末にパート1、2、3をついついテレビで観てしまうと1日潰れてしまうのだが、それがCDでは9分32秒で走馬灯のようにすぎていく。そして、#12はオリジナル曲で、ここでは80年代よりのアイデンティティ的ソロや音色がガーッと出てくる!

「好きなギタリストは?」冒頭に並べた以外に、マーク・リボー、コーネル・デュプリー、エリック・ゲイル、エリオ・デルミロ、小畑和彦、いわゆる人気投票トップ100(予約開始と同時売切)には入ってこない職人ばかり。僕は焼鳥屋と寿司屋、ライブハウスはふらっと寄っても入れてくれる職人の店を重宝している。ラストオーダーで飛び込みでも平常心でシェフの出すものを素直に楽しむ。音楽や音も味と同じく目には見えない。体験でしかホンモノを味わえないという点では同じである。通ぶってる訳ではなく、ほんとうに屁理屈のような論理と下手な文章で申し訳ない。

 

ビル・フリゼール
『星に願いを』
(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)



オノ セイゲン
ミュージシャン/録音エンジニア。ミュージシャンとしてスイス・モントルージャズに4回、ブルーノート東京にも2回出演。エンジニアとして、坂本龍一、三宅純、キース・ジャレット、など多数のプロジェクトに参加。
 

ライヴとディナーのお得なセットプラン
ミュージックチャージ + セットトリオ
1名様 ¥10,800(税サ込)



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