ダイアン・リーヴスが4年ぶりに来日 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ダイアン・リーヴスが4年ぶりに来日

ダイアン・リーヴスが4年ぶりに来日

ジャンルを超えて人々を魅了
新境地にも踏み出したトップ・ヴォーカリスト

様々なポップ・ミュージックを見渡した上で、今の輝きとスリルをたっぷり抱えたジャズ・ヴォーカル表現を悠々と表出。カサンドラ・ウィルソンと並ぶ現代ジャズ・ヴォーカル表現を牽引するダイアン・リーヴスは決まりごとを超えた先で、自由に"美しき生活"を謳歌する。

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text = Eisuke Sato

 現代ジャズ界で、もっとも品格を抱えたシンガー。ダイアン・リーヴスのことをそう説明してしまうと、誤解を生んでしまうだろうか。

 彼女の歌唱は深いし、滋味に溢れる。スキャットだって、奔放きわまりない。そして、綺麗な放物線を描く歌唱総体はジャズ・ヴォーカルそのものであり、それに4ビートはよく似合う。

 だが、リーヴスが長年メインとして志向してきているのは、カサンドラ・ウィルソンと同じ俎上にのせることができるクロスオーヴァー型のヴォーカル表現。彼女はポップ・ミュージックも知る腕利きたちを従え、ポップ曲群を思うままもう一つの大地に羽ばたかせてきた。近作『ビューティフル・ライフ』でも彼女はオリジナル曲とともにマーヴィン・ゲイやボブ・マーリィーやスティーヴィー・ニックスらの曲を取り上げ、ロバート・グラスパーやリチャード・ボナやエスペランサらをゲストに迎えている。同作は、見事グラミー賞のベスト・ジャズ・ヴォーカル部門を受賞した。

 そんな彼女の今回の来日公演は、当然『ビューティフル・ライフ』を引き継ぐものであり、近年の彼女のワーキング・バンドの面々となされる。

 キーボード奏者兼音楽監督のピーター・マーティンはテリ・リン・キャリトンのバンドにも属する名手で昨年2月にはコットンクラブで自己公演を持っているし、ブラジル人ギター奏者のホメロ・ルバンボはブラジリアン・フレイヴァーが必要な際のNYジャズ界のファースト・コールと言える存在だ。また、ベース奏者のレジナルド・ヴィールは大西順子やウィントン・マルサリスやアーマッド・ジャマール・バンドに属してきている名サイド・マンであるし、TOKUや大西順子のブルーノート東京公演で叩いてもいるドラマーのテリオン・ガリーはヒップホップ時代のジャズ・ドラミングを具現できる最たる御仁である。

 そうした興味深い逸材たちを揃えているところにもリーヴスの確かな音楽観が現れているわけだが、彼女は面々を統括し、十全に渡り合いつつ私の考える精気と潤いに満ちたヴォーカル表現を送り出す。そして、そこからは、現在と言うしかない、豊穣にしてスリリングなジャズ・ヴォーカル表現の本意が悠然と浮かび上がる。変わらなくていいジャズの流儀と時代とともに変わらなくてはならない視点や知識のダイナミックな綱引きを通したリーヴスの凛とした所作は、今のジャズが向き合うべき課題もおおいに伝えてくれるはずだ。

 

『ビューティフル・ライフ』
(ユニバーサル ミュージック)



佐藤英輔(さとう・えいすけ)
音楽評論家。出版社勤務を経て、フリーランスとなり、雑誌や新聞等に執筆。グルーヴと飛躍と酔狂さを持つ音楽をに好む。1999年から続けているブログの"佐藤英輔のライヴ三昧"は大好物のライヴを中心に扱う。

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テリ・リン・キャリントン

ダイアン・リーヴスはジャズ・シーンにおいて、もっともパワフルな声を持つ唯一無二の存在。彼女は常にスピリットに動かされていて、オーディエンスは喜んで彼女のミュージカル・ジャーニーの道連れになるの。ステージではダイアンが培ったスキルや夢、欲望をすべてさらけ出してリスナーを魅了する。ジャズ・シーンでは無視できない存在だわ。

 

リチャード・ボナ

ダイアンは現代において影響力のあるアーティストの一人で、ただただ素晴らしい。ぜひ公演に足を運んで!

 

キャンディス・スプリングス

ダイアン・リーヴス......ワォ、なんて素晴しい才能を持つ人なの! 私は長年、彼女のファンなの。5月にブルーノート東京で会えるなんて羨ましいわ!

 

グレゴリー・ポーター

僕は、自分でも意識しないうちに、見せかけでない正真正銘のアーティストを求めるようになってきたのだけれど、ダイアン・リーヴスは、本当にとても気に入っているシンガーの一人だよ。

 

音楽レヴューサイト〈 Mikiki 〉
http://mikiki.tokyo.jp

見応えのある映像も含めた本特集の拡大版も是非、ご覧ください!

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